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八風の湯様

　紅葉の名所として名高い滋賀県・東近江の名刹「永源寺」。その麓に建つ黒色で落ち着いた佇まいの木造建築で来訪者を温かく和ませる日帰り温泉「永源寺温泉 八風の湯」。
　四季折々の風景を楽しめる露天風呂、旅館気分を味わえるくつろぎスペース、地元の新鮮野菜をふんだんに使った旬の料理を堪能できる食事処など、都会の喧騒を忘れてゆったりくつろげる憩いの施設として、地元・滋賀からはもちろん、京都・大阪や岐阜・三重・名古屋からも観光客が大勢訪れる。
　休日には800名以上のお客さんが集う「八風の湯」。「旅館と同じような気分を味わってほしい」と入館者全員に配られる「バスタオル・フェイスタオル・館内着」は、全て同施設で洗濯・乾燥作業が行われている。同施設の設計段階からランドリー室の立ち上げに加わった岡村プロテックスは、40�sの洗濯機2台と40�sの乾燥機を3台導入している。観光客に施設を気持ちよく利用してもらうため、「八風の湯」のランドリー室ではどのような対策を講じているのだろうか。

導入の経緯

　永源寺を訪れる観光客や、滋賀でも徐々に増加し始めた温泉レジャー客に人気を集める「永源寺温泉 八風の湯」。岡村プロテックスは、平成20年7月にオープンした同施設に設計の段階からランドリー室の設置に関わった。同施設では、洗濯に使用する水を地下水から汲み上げる方式を採用し、その成分調査から館内着に使用する素材の選定、各洗濯物の洗い方の指導にいたるまで積極的に加わった。「事前に岡村社長から『水質に鉄分が多いので、変色する心配がある』と言われていたのですが、そのような事態が起きた後もしっかりフォローしてくれますし、本当に信頼できる存在です」（上原さん）と稼働後も様々な状況に応じたアドバイスやメンテナンスを行っている。
　スーパー銭湯や岩盤浴施設を始め、日本全国に温浴施設は多々あるが、施設内で洗濯作業を行っているのは半数程度と言われる。リネン業者に任せる、リース業者を活用する施設もあるが、「諸経費を考えると、やはり自分の所で作業をした方がコストも安くなると思います。それにランドリー室が隣接することで、急な混雑時にも予備に困ることはありませんし、業者の対応に苦慮する必要がない点もメリットです」（上原さん）という。お客様に応じて即座に対応が求められる温浴施設だからこそ、臨機応変な体制を整えられる強みは活きてくる。

使い心地について

　「八風の湯」の営業時間は午前10時〜午後10時（土曜は午後11時まで）。だが、年末年始や紅葉が見頃となる秋の連休時には、入場者が1000名を超えることも珍しくなく、営業時間内に洗濯・乾燥作業が間に合わず、一晩中作業に追われる日も珍しくない。「お客様のお越しになるピークに問題が起きてからでは間に合いません。不安なことは早めに連絡するようにしていますが、しっかり対応してもらえます」（上原さん）とメンテナンスに迅速に対応できることが、施設側にとっても安心感に繋がっているようだ。
　「八風の湯」では、ランドリー室における作業を社会福祉法人に委託している。「経費だけを考えると、アルバイトを雇って自前でするともう少し安くなるかもしれませんが、これが少しでも社会貢献に繋がるのであれば、やはり嬉しいですから」（上原さん）と地域への貢献も図られている。お客様が使用するものだけに、タオルや館内着にほつれがないか、洗い残しや汗の臭いが残っていないかなど、しっかりチェックを行う必要はあるが、業社のリネンコストが上がっている現状を踏まえると、自前で行うコスト削減と洗濯スピードによるメリットは予想以上に大きいという。
　現在、40�sの洗濯機2台、40�sの乾燥機を3台使用している。洗濯時間より乾燥時間の方が掛かる（約2倍）ための措置だが、それでも1日に10回以上、多い日は1台で15回以上運転させる日もある。岡村プロテックスが「八風の湯」で最も注意したのは、前の人が使った汗の臭いをしっかり落とすこと。洗剤の選定もそれに応じて調整を行ったが、現場のスタッフからも機械の使い心地に関しては「とくに問題を感じない」と好評を得ている。

今後の要望

　「洗濯・乾燥のことに関しては、逆に教えてもらうことの方が多いです」と上原さんは語るが、現場からは「乾燥機と同じように、洗濯機のドアが180度まで完全に開くと、洗濯物を取り出す時に楽ですね」との要望を挙げていただいた。仕組み・安全面の関係上、ドアを180度開くことは難しいが、今後、洗濯物の取り出しについての検討事項に上がりそうだ。また、鉄分が付着することによる変色も、洗剤の成分を見直すことで問題なく対応したように、メンテナンスに対するフォローも万全に整えられている。
　滋賀では、現在温浴施設のオープンが相次いでいるという。「夏前に守山に温浴施設がオープンしますが、これまで滋賀や京都では『温泉がレジャーである』という認識が薄かったので、もう少し増加してスーパー銭湯や日帰りの温泉施設の利用が、もっと多くの方に広がれば嬉しいと考えています」（上原さん）。
　JR近江八幡駅から無料のシャトルバスを送迎しており、宴会などの団体客には送迎バスも無料（高速代は別途）で手配する「八風の湯」。お客さんに安心して温泉を楽しんでもらうために、業務用洗濯・乾燥機も大きく貢献している。