なごみの里病院様
京都・洛東のおおらかな自然に抱かれた医療法人 新生十全会「なごみの里病院」は、総病床数698床の介護療養型医療施設。急性期の治療を終えて回復期に入ったお年寄りが、リハビリや継続的な看護・介護を受けながら長期入院するための医療施設として、来たる高齢化社会に向けて快適な療養環境を提供している。
近年、介護療養型医療施設では、医療施設と同様“院内感染(病院感染)”について対策を講じ、抵抗力の弱い高齢者の安全な入院生活を守ることが強く求められている。「なごみの里病院」では、国内・海外からも強く推奨されるようになった熱水消毒を取り入れたランドリーシステムをいち早く導入し、院内感染リスクの軽減や環境保全に努めている。
同施設のランドリーセンターの設計に携わった岡村プロテックスは、高温洗浄や排水対策など、先方の要望に応えながら40sの洗濯機を4台、50sの乾燥機を5台設置した。キレイに扱われており、動作も安定した稼働を維持している。
導入の決めて
通常の介護施設の洗濯業務と異なり、医療介護が必要とされる施設では感染症などの院内感染を防ぐ対策まで求められる。血液や体液などに汚染されているリネン(タオル・シーツや夏物衣料など)や感染症隔離病棟患者が使用したリネンなどを適確に消毒し、院内だけでなく環境保全の役割まで果たし、施設の安心・安全を確保する施設が増加しています。
高齢者の介護療養型医療施設である「なごみの里病院」では、院内感染対策のため、施設のオープン時からランドリーセンターにおける熱水洗濯を導入している。感染性リネンは水に溶けるランドリーバッグに入れて回収し、院内で他の空気に触れないように搬送。洗濯時も病棟ごとに仕分けし、水温を徐々に上げてゆく洗濯工程で汚染や病原体を完全に除去してゆく。厚生労働省が定める消毒と滅菌のガイドラインによれば「感染防止対策には80℃で10分間以上の熱水洗濯が必要」と規定されており、結核菌や肝炎ウイルス、エイズウイルスなども全て不活性化することができる。同施設では、その対策として90℃のお湯を送水した熱水洗濯を行っている。
また、排水に関しても熱水をそのまま流すと配管を痛めるため、一度、温度を下げた後、排水されている。感染性リネンを入れるランドリーバッグにも、下水処理場で分解される素材を使用しており、環境保全に対する配慮もしっかり整えられている。
使い心地について
「なごみの里病院」のランドリーセンターで洗濯されるものは、感染性リネンを含むバスタオルやフェイスタオル、おむつカバー、下用タオル、衣類、病院関係者の制服など。午前8時〜午後5時まで、病棟ごとに洗濯物を分けながら1台につき平均8〜9回洗濯される。感染性リネンと通常洗濯物の選り分けや、高温洗浄してはいけない素材もあり、洗濯物に気をつけながら毎日の作業に取り組んでいる。
前述で感染性リネンはランドリーパックに入れたまま洗濯されると紹介したが、洗濯物が完全に殺菌ができるように、一定の温度でフィルムを溶かした後、洗濯を行うよう設定されている。また、厚生労働省の指定する塩素系の消毒剤を使用し、作業者の安全も守られている。
すでに稼働から7年を経過するが、機器の耐久性も問題なく、衛生面を重視する方針を徹底しながら洗濯作業が日々行われている。
今後の要望
医療施設などで、熱水洗浄を行っている施設はまだまだ少なく、外注の業者に洗濯を全て依頼したり、リース業者を使っている施設が多い。しかし、自施設で院内感染対策を含めた熱水洗濯を行うことにより、衛生面における安全はもちろん、経費のコストダウンにも繋がるのは言うまでもない。作業面では「やはり、より早く洗濯・乾燥できるようになると嬉しいですね」と述べながらも、現状では問題ない状態で稼働しているそうだ。
今後、高齢者が急増する社会へ向かうなか、「なごみの里病院」のような介護療養型医療施設はより重要度を増し、需要の増加が予想される。抵抗力の弱い高齢者を守る安全性の確保は、洗濯・乾燥作業でもまずます重要となる。熱水洗濯を始め、衛生面に強く配慮する洗濯環境を築くことは、利用者や地域の方に信頼してもらえる点でも大切な要素となってくる。